「論文の書き方:清水幾太郎著・岩波書店」という本を久しぶりに読み返しました。この本については,2016年10月14日に,「これまでに読んだ本から(8冊目):【論文の書き方】」というテーマのブログで紹介しました。
この本の中に,「“が”を警戒しよう」という章があります。この章の中で,印象に残っている内容があります。
「が」で繋いだ文章はツルツルと読者の心へ入って来て,同時に,ツルツルと出て行ってしまうものらしい。
例えば,以下の文を比べてみます。
Ⅰ:昨日の午後,市内にあるパン屋まで高級食パンを買いに行ったが,午前中で売り切れてしまい高級食パンを購入できなかった。
Ⅱ:昨日の午後,市内にあるパン屋まで高級食パンを買いに行ったのに,午前中で売り切れてしまい高級食パンを購入できなかった。
Ⅰの文は,ツルツルと心に入って来て,同時に,ツルツルと出ていく感じがします。これに対して,Ⅱの文は,文の内容が頭の中に残ります。「昨日の午後,市内にあるパン屋まで高級食パンを買いに行ったにもかかわらず,午前中で売り切れてしまい高級食パンを購入できなかった」ことが明確に伝わります。
このようなことを認識しているだけで,内容が明確に伝わる文を書くことができます。
この章を読み返し,「“が”を警戒しよう」と改めて思いました。