「『君の書いた技術文書はわかりやすい』と言われる技術文書の書き方(その10)」の解説の続きです。
前回は,「書き方1について会話で考える」という内容で解説しました。今回は,この考え方を,技術文書を書く場合に適用したときの書き方1の使い方について解説します。
■書き方1について技術文書で考える
以下のパターンⅠとパターンⅡの書き方を比べてください。
【パターンⅠ】
1.〇〇交差点の改良計画の目的
〇〇交差点では,歩行者や自転車と左折車の接触事故が毎年数件発生している。過去には歩行者の死亡事故も発生している。来年3月末には,〇〇交差点付近に大型ショッピングセンターができることから,〇〇交差点を利用する歩行者や自転車が増えると予想できる。そのため,歩行者や自転車の安全確保のため,〇〇交差点をスクランブル交差点に改良することが今回の〇〇交差点の改良計画の目的である。
【パターンⅡ】
1.〇〇交差点の改良計画の目的
〇〇交差点をスクランブル交差点に改良することが今回の〇〇交差点の改良計画の目的である。〇〇交差点では,歩行者や自転車と左折車の接触事故が毎年数件発生している。過去には歩行者の死亡事故も発生している。来年3月末には,〇〇交差点付近に大型ショッピングセンターができることから,〇〇交差点を利用する歩行者や自転車が増えると予想できる。そのため,歩行者や自転車の安全確保のため〇〇交差点を改良する。
パターンⅠとパターンⅡを比べると,パターンⅡの方が内容が明確に伝わります。これは前回のブログの中の「●書き方1について会話で考える」のところで解説した理由と同じです。改良計画の目的が明確に伝わるのは,〇〇交差点の改良計画の目的の要点(アンダーラインの箇所)を,「1.〇〇交差点の改良計画の目的」という項目の冒頭に書き,改良計画の目的の要点の説明をその後に書いているからです。
「結論を冒頭に書く」という書き方があります。この書き方も書き方1と同じ考え方です。
次回に続きます。
【参考文献】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日