今回は,「『君の書いた技術文書はわかりやすい』と言われる技術文書の書き方(その16)」の続きです。今回も,ルール6(明確に伝わる文を書く)の使い方の一例の解説です。
■ルール6(明確に伝わる文を書く)・「書き方16:短い文を書く」
書き方16とは,簡潔でスリムな短い文を書くことです。短い文を書く書き方(方法)には以下のような書き方(方法)があります。
①一文一義で書く
②表現を工夫して書く
③内容を言い換える
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今回は,「一文一義で書く」について解説します。
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◆一文一義で書く
一文一義とは,1つの文の中に1つのこと(事柄)だけを書くことです。
以下の文を読んでください。
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【パターンⅠ】
今週の金曜日の10時から来年度に向けての営業会議が予定されているが,営業会議では,来年度の売り上げを今年度の売り上げの3割増にするための営業方針(案)を決定するとともに,商品開発部の部長から,現在進めている新商品の開発に関する進捗状況の説明がある。
この文は,以下のことが1つの文で書いてあります。
_①金曜日の10時に営業会議が予定されていること
_②来年度の営業方針(案)を決定すること
_③新商品の開発に関する進捗状況の説明があること
【パターンⅠ】のように複数のこと(事柄)を1つの文の中で書くと内容が明確に伝わりません。
ここで,この文を,一文一義の考え方に基づき書いた場合を以下に示します。
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【パターンⅡ】
今週の金曜日の10時から来年度に向けての営業会議が予定されている。営業会議では,来年度の売り上げを今年度の売り上げの3割増にするための営業方針(案)を決定する。また,商品開発部の部長から,現在進めている新商品の開発に関する進捗状況の説明がある。
【パターンⅡ】のように一文一義で文を書くと内容が明確に伝わります。
「一文一義で書くこと」は,短い文を書くときに有効な書き方(方法)です。一文一義で書くことを頭の中に入れて文を書いてください。
次回に続きます。
【参考文献】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日