今回は,「『君の書いた技術文書はわかりやすい』と言われる技術文書の書き方(その17)」の続きです。今回も,「ルール6(明確に伝わる文を書く)」・「書き方16:短い文を書く(一文一義で書く)」の解説です。
■一文一義で書く
一文一義とは,1つの文の中に1つのこと(事柄)だけを書くことです。前回は,以下の例に基づき一文一義について解説しました(一文一義で書いた場合)。
=
今週の金曜日の10時から来年度に向けての営業会議が予定されている。営業会議では,来年度の売り上げを今年度の売り上げの3割増にするための営業方針(案)を決定する。また,商品開発部の部長から,現在進めている新商品の開発に関する進捗状況の説明がある。
■一文一義は内容の流れを考えて使う
以下の文は一文一義で書いてありません。=
来週の月曜日の午前10時から社内でA社と打ち合わせを行うことが今日決まったので,打ち合わせに出席する予定の社員にこの日時をメールで送ったが,メールの送信後,A社から,「打ち合わせ時間を同日の午後14時からに変更してほしい」とのメールが送られてきた。
この文は,以下のことが1つの文で書いてあります。
①来週の月曜日の午前10時から社内でA社と打ち合わせを行うことが今日決まったこと
②打ち合わせに出席する予定の社員にこの日時をメールで送ったこと
③A社から,「打ち合わせ時間を同日の午後14時からに変更してほしい」とのメールが送られてきたこと
一文一義の考え方でこの文を書くと以下のようになります。
来週の月曜日の午前10時から社内でA社と打ち合わせを行うことが今日決まった。そこで,打ち合わせに出席する予定の社員にこの日時をメールで送った。メールの送信後,A社から,「打ち合わせ時間を同日の午後14時からに変更してほしい」とのメールが送られてきた。
一文一義で書くことで内容は明確に伝わります。しかし,文が細切れになり文の読みにくさを感じます。文に滑らかさがなくゴツゴツした感じがします。
例えば,以下のように修正すると文が読みやすくなります。
来週の月曜日の午前10時から社内でA社と打ち合わせを行うことが今日決まったので,打ち合わせに出席する予定の社員にこの日時をメールで送った。メールの送信後,A社から,「打ち合わせ時間を同日の午後14時からに変更してほしい」とのメールが送られてきた。
一文一義で書く場合には,1つの文の中に1つのことを書くことが基本です。しかし,一文一義で書いた結果,文が細切れになり文の読みにくさを感じたときには,無理に一文一義にしようとしないで内容の流れを考えて一文一義を使って文を書いてください。
次回に続きます。
【参考文献】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日