以下に示した「内容が明確に伝わる技術文書を書くための4項目」を「理解・習得・実践」することで内容が明確に伝わる技術文書を書くことができます。
①重要なことを理解する
②書き方の技術を習得する
③必要なことを理解する
④日々のオンザジョブトレーニングを実践する
「『君の書いた技術文書はわかりやすい』と言われる技術文書の書き方(その3)」から「 同 (その28)」では「②書き方の技術を習得する」に関することについて解説しました。
前回のブログで書いたように,解説の順番は逆になりますが,今回から,「①重要なことを理解する」に関して解説します。以下の内容で「重要なことを理解する」について解説します。
①技術文書=コミュニケーションの手段
②技術文書を書く目的
③「内容が伝わる」と「内容が“明確に”伝わる」の違い
④内容が明確に伝わる技術文書
⑤内容が明確に伝わる技術文書を書く理由
今回は,「技術文書=コミュニケーションの手段」について解説します。
■技術文書=コミュニケーションの手段
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)の中に「コミュニケーション」があります。このコミュニケーションの定義から,「技術文書=コミュニケーションの手段」と考えることができます。この内容は技術士が対象です。しかし,技術士だけではなく技術者全員が「技術文書=コミュニケーションの手段」と認識すべきです。技術者全員が,技術文書をコミュニケーションの手段として使っているからです。例えば,仕事で書くメールも技術文書と考えるならば,メールの送信と受信を通してメールの受信者とコミュニケーションをしています。
「内容が明確に伝わる技術文書」を書くことで,会社の同僚や上司あるいはクライアントなど様々な関係者との間で技術文書を通した円滑なコミュニケーションが取れます。円滑なコミュニケーションを取ることで仕事も円滑に進みます。これは,仕事に関する内容が読み手に明確に伝わるからです。
会話を通したコミュニケーションでは,「君の説明はわかりにくい」と言われたら仕事が円滑に進みません。これと同じように,「君の書いたこの資料はわかりにくい」と言われるような技術文書を書けば仕事が円滑に進みません。仕事に関する内容が読み手に明確に伝わらないからです。例えば,「君の書いたこの資料はわかりにくい」言われるような技術文書を書いたため仕事の関係者とのコミュニケーション不足が起こったとします。その結果,手戻りになり仕事が期日以内で終わらないことが起こるかもしれません。
「技術文書=コミュニケーションの手段」と考えることで,「技術文書を書くこと」が仕事をするうえで重要なことがわかります。
次回に続きます。