■視点を変える
佐藤可士和氏の著書に「佐藤可士和の超整理術:日本経済新聞出版社」という本があります。この本の中で,ユニクロの仕事をしたときのことを書いています。この中で印象に残った内容があります。
買い手からの視点に転換したことで,一気に解決できたのです。“売り方”ではなく,“買い方”に視点の軸を変えたことによって,問題解決の糸口が見つかったのです。
これは,“視点を変える”ことです。
■技術文書を書くことに対する「視点を変える」
技術文書を書くことに対しても「視点を変える」という考え方が適用できます。
「技術文書を書く」という言い方をします。例えば,「メールを書く」や「報告書を書く」という言い方です。つまり,これは「内容を書く」ということです。
技術文書とはコミュニケーションの手段です(こちら)。技術文書を通してその書き手とその読み手がコミュニケーションを取ります。会話を通して話し手と聞き手がコミュニケーションを取るのと同じです。
「技術文書とはコミュニケーションの手段」と考えると「技術文書の内容を伝える」と考えることができます。「メールで内容を読み手に伝える」や「報告書で内容を読み手に伝える」という考え方です。
これは,「内容を書く」という視点から「内容を伝える」という視点に変えることです。
■視点を変えるとわかること
「内容を書く」という視点から「内容を伝える」という視点に変えることでわかることがあります。それは,読み手の存在の有無です。
「内容を書く」は,頭の中にあることをそのまま書き出すようなイメージです。内容を書くときに読み手の存在を意識していないように感じます。
これに対して「内容を伝える」は,頭の中にあることを読み手のことを考えて書き出すイメージです。「伝える」という言葉から読み手の存在を意識しているように感じます(こちら)。会話では,聞き手のことを考えて話します。「内容を伝える」はこれと同じように考えることができます。
技術文書とはコミュニケーションの手段です。技術文書には必ずその読み手がいます。技術文書を書くときには「内容を伝える」という意識を持ち,読み手の立場に立って技術文書を書くべきです。
読み手の立場に立って技術文書を書くことで技術文書の書き方が変わります。
【参考図書】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日