好きな言葉の一つに「具体化する」があります。
「具体化する」とは具体的にする(なる)ことです。具体化すると見えてくるものがあります。仕事をするときや仕事に関する企画を考えるとき常に意識している言葉です。
以前,商品開発に関する考え方を書いた文章をあるウェブサイトを通して読みました。その詳細は忘れましたが,以下のような内容だったと思います。
「対象とするお客様を具体化することで,開発すべき商品のコンセプトや開発すべき具体的な商品が見えてくる」
確かに,お客様を具体化することで見えてくるものがあります。
例えば,「中年の男性を対象とした商品を企画する」と言っても,何を企画したらよいのかわかりません。しかし,
「45歳~55歳ぐらいの中間管理職の男性が帰宅後自宅で観ることで,一日の疲れが取れ気持ちがリフレッシュできるような映像を収めたブルーレイディスクの販売を企画する」
のようにお客様を具体化することで企画の方向が見えてきます。
弊社では,一昨年,オーム社から「技術士第二次試験 建設部門 完全突破(こちら)」を上梓しました。この本の構成を考えるとき,まず,この本を読んていただきたい受験生を具体化しました。これは,言い換えれば,この本を購入していただくお客様を具体化することです。
「技術士試験の受験生」と一口に言っても受験に際しての条件は様々です。
初めて受験する方,数回目の受験の方,5回~10回目の受験の方,周囲にいる先輩技術士から受験に関するアドバイスが常時受けられる方,受験に関するアドバイスをしてくれる先輩技術士が周囲にいない方,誰にもアドバイスを受けずに受験しようと考えている方・・・様々です。
拙著では,冒頭の「はじめに」で次のようなことを書きました。
技術士試験合格を目指す方,特に技術士試験と一人で戦っている受験生の合格を手助けするために本書を作成しました。一人で戦っている受験生とは,たとえば,以下のような方々です。
*周囲に技術士がいないため,インターネットや受験対策書等からの情報を頼りに合格を目指している方
*周囲に技術士はいるが,これらの技術士の支援を受けずに合格を目指している方
すなわち,このような方々を受験生として具体化して本の構成と内容を考えました。このように受験生を具体化したことで,本の構成や内容がすぐ決まりました。
弊社では,6月25日(土)に技術士受験対策として,「わかりやすい答案の書き方の基本(解説編)」の講習会を行います。
この講習会を企画するとき,「この講習会に出席していただく受験生とは,仕事で文章を書くことが少ないなどのため,文章を書くことに慣れていない方,あるいは,数年後に技術士の試験を受ける方」と,受験生を具体化しました。
そこで,このような方々が,「そうか・・・文章はこのように書けばわかりやすく書けるのか。よくわかった。」と言っていただけるような講習会の内容を考えました。
前回のブログでは,「視点を変えるとこれまでと違ったことが見えてきます」と書きました。
今回のブログで紹介した例からわかるように,具体化すると見えてくるものがあります。
このように考えると,「視点を変える」と「具体化する」とは同じような意味もあると思います。