今回は,「ビジュアル・コミュニケーション」を紹介します。
◆「ビジュアル・コミュニケーション:R.E.ワイルマン,井上智義他:北大路書房」
この本には,「効果的な視覚プレゼンの技法」というサブタイトルが付いています。この本のキーワードは“視覚”です。
コミュニケーション論などが専門のアメリカ人の研究者と3名の日本の認知心理学者がこの本を執筆(共著)しました。
視覚を活用して情報を伝達する方法について,認知心理学の考え方も示しながら様々な観点からビジュアル・コミュニケーションを解説しています。
わかりやすい文書を書くうえで,“ビジュアル(視覚)”は重要なキーワードです。
ここで,「わかりやすい文書を書くこと」と「ビジュアル(視覚)」との関係の例を1つ紹介します。
拙著:「技術者のためのわかりやすい文書の書き方」(こちら)では,「6つのルールと17の書き方」を提示しています。
「6つのルールと17の書き方」とは,わかりやすい文書を書くための具体的な書き方です。
「6つのルール」とは,わかりやすい文書を書くうえでの書き方の考え方です。例えば,「主要なことを冒頭に書く」などの考え方があります。
「17の書き方」とは,「6つのルール」に対する具体的な書き方です。「6つのルール」は考え方なので,これだけではわかりやすい文書は書けません。「6つのルール」に対する具体的な書き方が必要です。それが,「17の書き方」です。例えば,「書き方1:知りたいことを冒頭に書く」などがあります。
6つのルーツの中に,「ルール5:視覚的に書く」があります。これは,「内容を視覚的に書くこと」です。すなわち,これは,「内容を見る」という考え方も取り入れて内容を書くことです。例えば,「書き方12:重要な内容を強調して書く」があります。
17の書き方の中で,書き方9は「内容を表で書くこと」です。
社員研修やセミナーの中で,書き方9を使う場合,書き方12を使って表の中の重要な内容を強調することを解説しています。表を書くだけではなく,表の中の重要な内容を強調することで,読み手に表の内容が一層明確に伝わります。
すなわち,表を一工夫して作成することで表の内容の伝わり方が変わります。
今回紹介した「ビジュアル・コミュニケーション」の中では,「4章:ビジュアル・デザインを,よりよいものにしよう!」の中で,強調することの重要性が書かれています。
「わかりやすい文書を書くこと」と「ビジュアル(視覚)」との関係の例をもう1つ紹介します。
「ルール5:視覚的に書く・書き方11:写真や図を入れて書く」があります。
例えば,業務報告書に写真や図を入れる場合にも,写真や図を入れるだけではなく,視覚的にプレゼンする方法を考えたうえでこれらを業務報告書の中に入れると,読み手に,写真や図の内容が一層明確に伝わります。
“ビジュアル(視覚)”の考え方を取り入れることで,わかりやすい文書が書けます。