今回は,「田中角栄100の言葉」の紹介です。
「天才:石原慎太郎著:幻冬舎」を読み,田中角栄氏に関する本が読みたくなったのでこの本を購入しました。
過去のブログで紹介した本は,わかりやすい文書の書き方に関連した本です。そのため,今回紹介する「田中角栄100の言葉」を見て「エッ?」と思われたことでしょう。紹介した理由は,わかりやすい文書の書き方に関連した内容が書いてあったからです。
この本では,タイトル通り田中角栄氏の100の言葉が紹介されています。「1章:仕事」,「2章:人生」,「3章:生きる」,「4章:政治」の項目に分れています。
ここで紹介したいのは,100の言葉の中の1番目の言葉です。「仕事」に関する言葉です。
角栄の言葉①:「まずは結論を言え」
用件は便箋1枚に大きな字で書け。
初めに結論を言え。
理由は3つまでだ。
この世に3つでまとめきれない大事はない。
この言葉の解説として以下のことが書いてあります。
田中角栄のニックネームは「分かったの角さん」。長々と話をされるのを嫌ったため,秘書や側近議員らは,要点を端的に伝えることを常々心掛けていたという。
フルスピードで大量の陳情と政治案件を処理しなければならなかった田中角栄は,人情の政治家であると同時に「合理性」を何より重んじた政治家だった。「大切なこと,物事の本質はいつも平易で短く表現できる」というのが田中角栄の考え方である。
田中角栄氏のこの言葉は,わかりやすい文書を書く場合と共通の考え方です。
*初めに結論を言え
*大切なこと,物事の本質はいつも平易で短く表現できる
わかりやすい文書を書くうえで非常に参考になる内容です。
もう一つ紹介します。これは,角栄の言葉⑦「嘘はすぐバレる」の中に書いてあるこの言葉の解説の部分です。
田中角栄は,初めて総選挙を手伝う秘書に,よく簡潔なアドバイスをした。秘書の早坂茂三はそれを「簡潔」「明快」「具体的」の「真理の三要素で構成されたもの」と回想している。(以下略)
「明快」=「明確」と考えれば,「簡潔」「明快」「具体的」は,わかりやすい文書を書く場合のポイントです。
こんなエピソードも書かれています。
「日本経済新聞」に掲載された田中角栄氏の自伝「私の履歴書」は,当初は秘書の早坂茂三氏が口述をまとめていたそうですが,途中から田中角栄氏本人が原稿を書いたそうです。その原稿を評論家の小林秀雄氏が高く評価したそうです。また,田中角栄氏は「政治家にならなければ小説家になっていた」とも語っていたそうです。
田中角栄氏の書く文書は,間違いなく「わかりやすい文書」だったと思います。