10月14日(金)のブログでは,これまでに読んだ本として「論文の書き方:清水幾太郎 岩波書店」を紹介しました(こちらを参照してください)。
著者は,1千字,すなわち,400字詰原稿用紙2枚半で文献を紹介するという仕事を大学時代に行っていました。そこから学んだこととして以下のようなことを書いています。
・・・・枚数が小さく限られていると,否応なしに,読んだものの大部分を思い切って捨てなければならぬ。本質的なものを学び取らねばならぬ。枚数の制限というのは,精神をノンビリした受動性から苦しい能動性へ追い込むための人工的条件である。・・・・
9月5日(月)に掲載した「概要版を作成する」のブログの中で,概要版をA3版の用紙1枚で作成することを書きました(こちらを参照してください)。すなわち,これは,制限を設けて概要版を作成することです。
清水幾太郎氏は,制限内で文献を紹介するには「読んだものの大部分を思い切って捨てなければならぬ」と言っています。
概要版をA3版の用紙1枚で作成するには自分の担当した業務を整理し,概要版の中に書くべきことを選定する必要があります。このことは清水幾太郎氏が書いていることと同じです。
自分の担当した業務を紹介する場合,「あれも書きたい」,「これも書きたい」という気持ちになると思います。しかし,「あれも書く」,「これも書く」をやっていたら,A3版の用紙1枚で概要版は作成できません。制限枚数以内で書くためには,伝えるべきことの本質を探しそれを書くことが要求されます
「概要版を作成する」のブログの中で,概要版を書くことは,答案用紙の枚数が制限されている技術士の試験の受験勉強になることも書きました。
制限された枚数(制限文字数)以内で解答を書くことも,解答の本質を考えたうえで解答を書くことです。その意味から,概要版を書くことは,解答の本質を考えるトレーニングになると思います。
最後に再度,清水幾太郎氏の言葉を書きます。
枚数の制限というのは,精神をノンビリした受動性から苦しい能動性へ追い込むための人工的条件である。