2016年10月5日(水)のブログでは,「施策と方策」について書きました(こちらを参照してください)。今日は,「問題と課題」について書きます。
仕事の中などで,「問題」や「課題」という単語(言葉)を使うことがあると思います。テレビやラジオのニュースの中でも,「問題」や「課題」という言葉を頻繁に聞きます。
ところで,問題と課題の意味の違いは何でしょうか?
辞典で,これらの単語の意味を調べました。
【問題】
①問いかけて答えさせる題。解答を要する問い。
②研究・議論して解決すべき事柄。
【課題】
題,また問題を課すること。また,課せられた題,問題。
『出典:広辞苑(第5版)』
わかったような,わからないような・・・・・
問題と課題との関係を考えると,問題があり課題があるように思います。
すなわち,何か困った状況にあることが問題です。その問題の解決を課せられることが課題という理解です。
なぜ,今回このようなテーマでブログを書いたか・・・? 理由は,技術士の試験と関係があるからです。技術士の第二次試験では過去に,筆記試験合格者は,技術的体験論文を提出する制度がありました。技術的体験論文とは,簡単に言うと,「実際に行った業務の中から2つを選びその概要をまず書く。次に2つの中から1つを選び以下の事項について書く」というものです。3,000字以内ですべてを書きます。
(1)あなたの立場と役割
(2)業務を進める上での課題及び問題点
(3)あなたが行った技術的提案
(4)技術的成果
(5)現時点での技術的評価及び今後の展望
ここで注目すべきは「(2)業務を進める上での課題及び問題点」です。この項目では,「課題と問題」を書かせます。「問題があり課題がある」という理解を基本にすると,これは逆になっています。これはどのように解釈すればよいのでしょうか?
次のような流れを前提としているのかもしれません。
*地球温暖化が進行しているため,2100年には地球の平均気温が最悪4.8度上昇すると予測されている。その結果,世界各地で異常気象などが発生する可能性が高い(問題A)。
*地球温暖化対策のため,2020年以降の新たな温室効果ガス排出削減目標として,日本は2030年までに,温室効果ガスを2013年度比で26%削減しなければならない(課題)。
*現在,我が国では,温室効果ガスの削減対策が進んでいるため,我が国にとってこの削減目標を達成するためのハードルは高い(問題B)。
つまり,試験では,上の例で考えるならば,課題と問題Bを書かせるという意味でしょうか? もし,このような流れを考えたうえで課題と問題を書かせるならば,受験生にとってはまさに難しい「課題」です。課題と問題との違いを認識して書かなければならないのですから・・・。
幸い,平成25年度から試験制度が変わり,現在は,この技術的体験論文の提出はありませんが・・・。