今回は「わかりやすく説明する」をテーマにしたブログです。わかりやすい文書の書き方にも関連した内容です。
昨日,建設関連の業務の完了検査に立ち会ってきました。その業務を受注した会社の仕事を弊社が手伝った関係から完了検査の立ち会いを依頼されました。業務の成果は,その会社の社員の方(Aさんとします)が説明しました。Aさんが業務の担当者だったからです。
Aさんの説明を聞いていて気になったことがありました。それは,わかりにくい説明をしていたことと説明する声が小さかったことです。
Aさんの説明には強弱(メリハリ)がなく,説明が間延びしていました。業務の要約版に基づき業務の成果を説明していましたが,要約版に書かれていることを一字一句読んでいるだけでした。
要約版もA3判の用紙(2段組み)で6枚(その他に添付資料が8枚)あるため,説明を聞いて「このペースで説明したらまだ1時間以上かかるな。これでは,聞いている方も飽きてくるな」と思っていました。
予想したとおり,説明を聞いていた検査官も同じことを考えていたようで,Aさんに,「説明を短くしてください。ポイントだけを簡潔に説明してください」と注意していました。
「自分が担当した業務なのでやったことをすべて説明したい」というAさんの気持ちもよくわかりますが・・・。
また,説明する声が小さいと,自分が担当した業務の成果に対して自信がないように思われます。
Aさんが,検査官の立場だったらどうでしょうか。おそらく,Aさんもこの検査官と同じこと,すなわち,「説明に強弱(メリハリ)がなく説明が間延びしていること・説明する声が小さいこと」を感じたと思います。
すなわち,聞き手の立場に立ってみるとこれがわかると思います。
わかりやすい文書を書くうえでの重要事項とは以下のことです。
わかりやすい文書を書くうえで最も重要なことは、“書き手”と“読み手”の違いを認識したうえで、読み手の立場に立って文書を書くこと
文書を書く場合も何かを説明する場合も同じです。自分が,読み手あるいは聞き手になったことを考え,「文書を書くあるいは説明をする」ということです。
ところで,「説明に強弱(メリハリ)がなく説明が間延びしていること」についてですが,改善策は,説明に強弱(メリハリ)をつけることです。
具体的な改善策はいろいろあると思います。その1つとして,重要な内容は時間をかけて説明し,それを補足する内容は短時間で説明する,あるいは,説明を省くことがあります。
自分がやったことをすべて同じレベルで説明すると,説明が間延びしたり説明時間が長くなったりします。
重要な内容とは,例えば,業務の目的と方針,業務を進める(検討を進める)うえでの課題,業務の成果などです。
もちろん,業務の内容などによっては他にも重要事項があると思います。
建設関連の業務は,例えば,道路を造るにしても,各々の現場状況が異なるため対象になる現場状況をそこの現場写真で説明することも重要事項です。検査官がその現場を知らないこともあるからです。
完了検査が終了したあと,Aさんに「説明を工夫した方がいいですよ。例えば,・・・」とアドバイスをしました。Aさんは,完了検査での説明の経験が少なかったとのことで,業務の成果をどのように説明してよいのかわからなかったそうです。
初めから上手に説明できる人はいません。これから経験を積めば検査での説明に慣れてきて,わかりやすい説明ができるようになると思います。
聞き手に何かを説明するときには,自分が聞き手になったことを考えて「どのように説明したらいいか」と考えてください。