前回のブログでは,建設コンサルタントの会社で技術士を取得することは会社として大きな意味を持つことを書きました(こちら)。
今回のブログでは,「業務の受注に直結しないが,人脈ができたとともに自分の技術の幅が広がったケース」について書きます。
■Aさんのケース
コンピューター関連の会社に勤務されている方(Aさんとします)からお聞きしたことを紹介します。Aさんが勤務する会社では,その会社の業務の受注方法から,前述した建設コンサルタントの会社のように技術士の取得が業務の受注に直結しないそうです。そのような状況の中で,Aさんは,「人脈を広げ自分の技術の幅を広げたい」という目的で技術士を受験されました。
Aさんは,技術士を取得したことで技術士の立場として(公社)日本技術士会内にある部会に入会できたそうです。これによって,部会での活動を通して多くの技術士の方々との人脈ができたそうです。「人脈ができた結果,他の技術士の方々からいろいろなことを学ぶことで自分の技術の幅が広がった。また,これは自分の仕事をするうえでも役立っている」ということを話されていました。
すなわち,Aさんの場合,技術士の取得が業務の受注に直結しませんが,技術士の取得が,「技術士を取得することで人脈ができたとともに自分の技術の幅が広がった」という重要な意味を持ちます。
実は,私も技術士会での活動を通じて人脈ができたとともに自分の技術の幅が広がった経験があります。
以前,埼玉県技術士会(現(公社)日本技術士会・埼玉県支部)に所属していましたが,そこで知り合った複数の技術士の方々から様々な仕事をいただきました。それらの方々は建設関連の技術士(私も建設関連の技術士です)でしたが自分とは異なる技術分野だったので,これらの仕事を通して自分の技術の幅が広がりました。
自分の専門分野の仕事だけをしていたら決して学べなかった技術でした。
■技術士の資格を取得する意味を考える
前回のブログ(こちら)と今回のブログで,技術士を取得することが「業務の受注に直結するケース」と「業務の受注に直結しないが,人脈ができたとともに自分の技術の幅が広がったケース」の2つのケースを紹介しました。
この他にも様々な「技術士を取得する意味」があります。例えば,「会社として技術士を取得することを特に勧めていないし,技術士という資格は仕事をするうえで特に重要ではない。しかし,技術者としての自分の評価を高めたい」と話されていた製造業の方もいらっしゃいました。すなわち,この方にとって,技術士の取得は“自己研鑽”という意味を持ちます。
「技術士を今後取得しよう」と考えている方は,自分が技術士を取得する意味をしっかり考えてください。それが,「絶対に合格する!」という強い気持ちを持つこと注1)に結び付きます。
注1):2016年3月8日に掲載した「『絶対に合格する!』という強い気持ちを持つこと」をテーマとしたブログを参照してください(こちら)。