かたまりに分けて書く

2018年2月12日に掲載したブログのテーマは「河川の堤防が決壊する」でした(こちら)。

このブログの中で以下の問題を出しました。

では,文の羅列で長々と書かれている文章(以下参照)をどのような書き方で書き直したら,内容がわかりやすくなるでしょうか? (読み手に内容が明確に伝わるようになるでしょうか?)


【車の主な種類】

ハイブリッドとは,ガソリンで動くエンジンと,電気で動くモーターを搭載している車のことです。モーターがエンジンをサポートして走るため燃費がよく,ガソリン仕様車と比べて排出するCO2が軽減されるため,環境への影響が小さいのがこの車の特長です。コンパクトとは,ボディサイズが小さめで,排気量が小さなエンジンを積んだ車のことです。セダンやミニバンと比べてボディサイズが小さめなので取り回しがよく,狭い路地や駐車場でも気を使うことなく運転できることがこの車の特長です。セダンとは,エンジンルーム,乗車空間,荷物空間が別々になっている形をしていて,車の基本とも呼ばれるタイプの車のことです。乗車空間が荷物空間から独立していることから,乗る人の快適性を重視した居住空間が確保され,移動するのに適しているのがこの車の特長です。

注:「車の主な種類」の説明は、「HONDA」のウェブサイトの内容を引用させていただきした


今回はこの問題の解答です。

ここで登場するのが,「かたまりに分けて書く」という考え方です。

2017年7月11日のブログで,「デザイン・ルールズ:伊達千代&内藤タカヒコ著(エムディエヌコーポレーション)」という本を紹介しました(こちら)。

この本の中で著者は,「ステップ1:まとまりを持たせる」という項目で以下のことを書いています。


「そこで大切なのが,『まとまりを持たせる』という考え方です。人間の目,あるいは脳は,一度に膨大な量の情報を処理できるわけではありません。ですから余計な部分に目がいかないようにまとまりを持たせ,なるべく短い時間で情報やメッセージを伝えたり,より伝わりやすくするための視覚化,といった仕掛けが必要になるのです」


この,「まとまりを持たせる」という考え方は,「かたまりに分けて書く」という考え方に置き換えることができます。文の羅列で長々と書かれている「車の主な種類「『かたまりに分けて書く』という考え方」を取り入れて書き直してみます。例えば,以下のようになります。

この例では,車の主な種類を,車の種類車の定義車の特長という“3つのかたまり”に分けて書きました。文の羅列に比べて内容が明確に伝わったと思います。

冒頭に書いた車の主な種類に関する文章は,“1つのかたまり”と考えることができます。しかし,このかたまりは伝えるべき情報量が多いために内容が明確に伝わりませんでした。

かたまりに分けて書くことで,膨大な量の情報が小分けにされ個々のかたまりの情報量が当初のかたまりに比べて小さくなりました。この結果,内容が明確に伝わるようになりました。

わかりやすい文書を書くうえで“かたまりに分けて書く”という考え方は非常に重要です。

“かたまりに分けて書く”という考え方を常に持って文書を書いてください。

ところで・・・

「森谷仁著,『技術者のためのわかりやすい文書の書き方』,オーム社,平成27年3月20日」こちら)を読まれた方は,【車の主な種類】の文章を,今回解説した書き方以外の方法を使って“かたまりに分けて書くこと”ができると思います。

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