先日,平成30年度に出題された電気電子部門・電子応用での記述式試験の問題を読んでいました。電気電子部門は専門外の部門です(私は建設部門)。
11月10日(土)に実施するセミナー(こちら)での資料を作成するため,「他部門ではどのような問題が出題されているのか」を確認しようと思ったからです。
電気電子部門・電子応用での課題解決能力の問題を読んで少し驚きました。
以下に示したのが「平成30年度・電気電子部門・電子応用・課題解決能力(Ⅲ-1)」の問題です。なお,問題中のアンダーラインは弊社で付けました。
この課題解決能力の問題は,“一人暮らしの高齢者の状態を計測する装着不要計測システム”の開発に関する問題です。これは,まさに今の日本が抱えている一人暮らしの高齢者の問題の1つです。
電気電子部門でこのような問題が出題されていることに驚きました。
また,(1)の問題は,「実施例として考えられるもの(対象とする患者,疾病)を1つ挙げ,その概要を説明せよ」です。
この問題は,電子応用の技術(知識)だけでは解けないです。「一人暮らしの高齢者が現状でどのような状態となっているか(対象とする患者,疾病)」を知っていることでこの問題が解けます。
技術士第二次試験で,「対象とする患者,疾病」を解答させることに驚きました。
ただ,電気電子部門・電子応用の受験生にすれば「やっぱりこのような問題が出たか」という内容の問題かもしれませんが・・・。
日本技術士会が公開している資料によれば,「課題解決能力の問題」の出題内容は以下のとおりです。
「選択科目」に係わる社会的な変化・技術に関係する最新の状況や「選択科目」に共通する普遍的な問題を対象とし,これに対する課題等の抽出を行わせ,多様な視点からの分析によって実現可能な解決策の提示が行えるか等を問う内容とする。
この電気電子部門・電子応用の問題は,「『選択科目』に係わる社会的な変化・技術に関係する最新の状況や・・・」の部分に当てはまると思います。
来年度から,「課題解決能力」の問題が「問題解決能力及び課題遂行能力」の問題に変わります。
日本技術士会が公開している資料によれば,「問題解決能力及び課題遂行能力の問題」の出題内容は以下のとおりです。
社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。
改正前後の出題内容を比較してわかるように,試験の種類が変わっても,この問題に対する対策として,「社会での出来事(日本の社会で起こっていること,日本の社会が抱えている問題,受験部門の中で起こっていること)に関心を持ち,これらと受験部門(選択科目)との関係を考えること」が重要であることは変わりません。
社会での出来事に関心を持ち,これらと受験部門(選択科目)との関係を考えることで「問題解決能力及び課題遂行能力の問題」を解くための材料が入った引き出しが増えます。
「問題解決能力及び課題遂行能力の問題」を解くための材料が入った引き出しを数多く持つことが,「問題解決能力及び課題遂行能力の問題」に対する対策の1つです。
電気電子部門・電子応用での問題を読んで,改めて,「問題解決能力及び課題遂行能力の問題」を解くための材料が入った引き出しを数多く持つことが重要であることを認識しました。
毎日新聞を読んだり,毎日テレビでニュースを見たり,受験部門(選択科目)での専門誌を読んだりして社会での出来事を確認するとともに,「社会での出来事と受験部門(選択科目)との関係は何か?」と考えてください。