JTAPCOブログで何度か登場していただいている技術士・電気電子部門のAさん(こちら)に口頭試験対策のアドバイスをお願いしました。早速原稿を送ってくださったのでJTAPCOブログに掲載します。
特に,今年,口頭試験を受験される方はAさんのアドバイスを参考にしてぜひとも口頭試験を突破してください。
JTAPCOブログでも,口頭試験対策をテーマにしたブログを掲載していますので併せて参考にしてください(こちら)。
ブログを拝読されている皆様へ,口頭試験についてアドバイスをいたします。
1.業務詳細及び業務経歴の試験はプレゼンテーションである。
業務詳細及び業務経歴の試験は,あなたの業務プレゼンテーションであると考えてください。
試験官はあなたの業務をまったく知りません。事前の情報として,あなたが技術士試験申込書に記載した業務詳細及び業務経歴の内容を確認しただけです。
したがって,論文と同じく主語-述語で纏めて試験官が理解できるよう簡潔に説明してください。また,専門用語については「***という技術がありますが,これは***」など,試験官はあなたの話す専門用語は知らないという意識で説明してください。
試験官はあなたのお客様です。お客様にあなたの技術提案の良さをプレゼンテーションするのだという意識で口頭試験に臨んでください。
2.業務詳細及び業務経歴で試験官は何を知りたいのか。
業務詳細及び業務経歴で試験官が一番知りたいことは,「なぜあなたが業務詳細に記載した,または口頭試験の最初にあなたが説明した解決策を考えたのか」です。
試験官は,「事実を元に推論を立て意見を述べることができるか」を確認します。事実,推論,意見について以下に説明します。
事実:課題の背景や基礎的な科学技術
推論:事実からあなた自身が論理的に考察した考え
意見:推論を元に導き出した解決策
技術士に求められる一番重要な能力は何かわかりますよね。そうです,推論です。
私の経験上,口頭試験で不合格になる方は,この推論がないことが多いのです。推論がないと,一般的な解決策を説明しているだけのような感じになります。
例えば,CO2排出抑制の解決策について提案したとしましょう。
(1)ガソリン車はガソリンを燃焼するためCO2を排出する。したがって,私は解決策として電気自動車の導入を提案する。
(2)ガソリン車はガソリンを燃焼するためCO2を排出する。そこで,私は電気モーターを動力とした電気自動車ならCO2を大幅に削減できるのではないかと考えた。電気自動車はガソリンを燃焼しない。なお,電力系統から充電するため,一部火力発電から排出するCO2は発生するが,TOTALして考えた場合,ガソリン車に比べ**%CO2を削減できるのではないかと考えた。したがって,私は解決策として電気自動車の導入を提案する。
(1)と(2)の説明のどちらが技術士の提案としてふさわしいか?
明らかですよね。
3.PC(プロフェッショナルコンピテンシー)を意識する。
技術士にはPCが求められます。PCとは以下のことです。
(1)専門的学識
(2)問題解決
(3)マネジメント
(4)評価
(5)コミュニケーション
(6)リーダーシップ
(7)技術者倫理
技術士は技術的な能力だけ備わっていてもだめなのです。口頭試験は技術士法及び技術者倫理についても試験が行われますが,試験官は業務詳細及び業務経歴も含め,あなたがPCを持っているかどうかを確認します。
しかし,背伸びしてかっこいいことを試験官にアピールしようとは考えないでください。うそをついてもかならずばれます。等身大で良いのです。
例えば,最近企業の不祥事が多いですが,あなたは不祥事を起こさないために何を意識して行動していますか?
等身大の自分でも良いので,自分が正しいと考えていることを意識して行動してください。そうすれば,口頭試験で聞かれたときに,すぐ答えることができるはずです。
技術者倫理以外の項目についても,同じように意識してください。
以上,簡単ですがアドバイスを終わります。