平成31年度(2019年度)からの技術士第二次試験では,“コンピテンシー(技術士に求められる資質)”が筆記試験および口頭試験での評価項目となります。
このコンピテンシーについては過去のJTAPCOブログで何度か書いています。
*2018年4月14日:平成31年度・技術士第二次試験方法の改正について(こちら)
*2019年1月4日:平成31年度・技術士第二次試験方法の改正について(その2)(こちら)
*2018年7月19日:技術士第二次試験対策:技術士に求められる資質能力(コンピテンシー):その1(こちら)
*2018年7月22日:技術士第二次試験対策:技術士に求められる資質能力(コンピテンシー):その2(こちら)
コンピテンシーと筆記試験での試験科目(必須科目および選択科目)との関係は以下のとおりです。
この表からわかることは,“専門的学識”と“コミュニケーション”は必須科目および全選択科目で評価項目の対象になっていることです。
日本技術士会が公表している資料ではこのコミュニケーションを以下のように定義しています。
*業務履行上,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等多様な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
*海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務遂行上必要な意思疎通に加え,現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
しかし,この内容は概念的なので,「『技術士に求められる資質能力』の解説:国際委員会IEA対応WG」でのコミュニケーションの定義を以下に示します。
【コミュニケーション】
・技術士業務の履行に当たり,共に働く者,依頼者又は公衆との間で明確かつ効果的な意志疎通(コミュニケーション)を行う能力が求められる。
・コミュニケーションの主な内容は下記のとおりです。
①論文,報告書,設計書等の文章作成,説明又は発表
②業務に関する報告または指示の口頭又は文書による授受
③情報・意見交換,討議等
・海外関係の業務に携わるためには,一定水準の語学(多くの場合英語)力が必要である。
この定義の中の「コミュニケーションの主な内容」で書かれていることは,技術者の方が日常業務の中で行っていることです。
このことから,評価項目の“コミュニケーション”の対策とは,日常業務の中でコミュニケーション(文字によるコミュニケーションと会話によるコミュニケーション)力をレベルアップさせることです。
試験場で,受験生から試験官に対しての文字によるコミュニケーションが成立する答案(わかりやすい答案:試験官に解答が明確に伝わる答案)を書くためにも,日常業務の中で,書き手から読み手に対しての文字によるコミュニケーションが成立する文書(わかりやすい文書:読み手に内容が明確に伝わる文書)を書くように心掛けてください。
現状では,筆記試験の採点上,このコミュニケーションという評価項目がどのように反映されるのかわかりません。
しかし,日常業務の中で,コミュニケーションが成立する文書を書くことでコミュニケーション力をレベルアップさせておけば採点に関する不安はなくなると思います。
なお,口頭試験でも“コミュニケーション”が評価項目になりますが,これについては筆記試験終了後に掲載するブログで書く予定です。