日経コンストラクションに「読者から」というコーナーがあります。読者からの投稿を掲載するコーナーです。読者からの投稿が毎号2本掲載されます。
日経コンストラクションの2020年2月10号に「若手技術者が資格を取りたがらない理由」というテーマの投稿がありました。建設会社の方からの投稿です。
この方が勤務する会社では,30代以上の技術者は資格を取る意欲を持っていますが(向上心を持っている),20代の若い技術者の多くは資格を取りたがらないそうです。資格を取ることで仕事の責任や周囲からのプレッシャーが大きくなるのが嫌なのだそうです。
この投稿者は建設会社の方ですが,建設コンサルタントの会社でも「資格を取得することに消極的な社員が多い」ということを聞いたことがあります。
建設コンサルタントの会社では,技術士は仕事を受注するうえで重要な資格です。
注):2018年4月19日に掲載したブログでこの内容について書きました(こちら)。
このため,技術士の受験を促す目的で,社員が技術士を取得するための支援をしている会社もあります。例えば,受験費用など取得にかかる費用を会社が全額負担したり,技術士を取得すると一時金を出したりしている会社です。このような制度を設けている会社を複数知っています。
しかし,このような支援を行っている複数の会社の方から「技術士を取得するため社員に至れり尽くせりの支援をしても技術士の資格を取ろうとしない」ということを聞きます。先日も,ある建設コンサルタントの会社の部長さんからこのようなことを聞きました。
「社員の方がなぜ技術士の資格を取得しようとしないのか?」の理由は確認していません。しかし,建設コンサルタントの技術者の方は,技術士の資格を持っていなくても仕事ができるので,「技術士の資格を取ろう」とは思わないのかもしれません。受験勉強は大変ですから・・・。
建設関連の多くの学会では学会独自の技術者の倫理を設けています。例えば,日本技術士会,土木学会などです。8つの学会の技術者の倫理規定(倫理要綱)を読みました。それぞれの学会独自の内容ですが,すべての学会で設けられている共通の内容(項目)があります。それは,継続研鑽(自己研鑽)です。
「技術者は常に自己の専門的能力(技術)の向上に努める必要がある」ということです。
「資格を取得することは継続研鑽(自己研鑽)」と考えることができます。受験勉強は大変ですが,受験勉強は自分の技術力を確実に向上させるからです。
技術者は,お客様に自分の技術を提供することでその対価を得ています。したがって,技術(技術力)は自分の大事な商品です。
自分の商品価値を高めるためにも技術者の方は資格の取得にチャレンジすべきだと思います。