「『君の書いた技術文書はわかりやすい』と言われる技術文書の書き方(その9)」で「6つのルールと18の書き方」の概要を解説しました。今回は,「6つのルールと18の書き方」の具体的な使い方の一例を解説します。
■ルール1(冒頭に書く)・「書き方1:要点を冒頭に書く」
●書き方1について会話で考える
書き方1とは,内容に関する要点(以後,内容の要点)を冒頭に書き,この要点に関する説明(以後,要点の説明)をその後に書くことです。まず,会話の場面を使って書き方1の考え方を解説します。会話の場面を使って解説すると書き方1の考え方が理解しやすくなるからです。
面接試験で,2人の受験生(A君とB君)が面接官から次のような質問を受けたとします。
〇〇について,△△という考え方があります。あなたは,この考え方に賛成ですか,反対ですか。
〈A君の回答〉
〜であり,〜なので,〜ということを考えると,私は,△△という考え方に賛成です。
〈B君の回答〉
私は,△△という考え方に反対です。根拠は,〜,〜,~です。
面接官に,A君の回答は明確に伝わりません。回答の要点(△△という考え方に対して賛成か反対かということ)を回答の最後に話しているからです。これに対して,B君の回答は明確に伝わります。回答の要点(賛成か反対かということ)を回答の冒頭に話しているからです。また,B君の回答は,まず,「反対です」と自分の考え(回答の要点)を言った後にその根拠(要点の説明)を話しています。このことから,自分の考え(回答)が面接官に明確に伝わります。
書き方1は,このような考え方に基づく書き方です。
次回は,今回解説した「書き方1について会話で考える」の考え方を技術文書を書く場合に適用したときについて解説します。
次回に続きます。
【参考文献】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日