今回も,前回に引き続き,「頭の中を整理すること」についての解説です。「技術士二次試験対策:解答の要点を簡潔に考える(その1)」の内容を参考にした解説です。
■頭の中を整理する
前回のブログで書いたように,「内容が明確に伝わる技術文書の書き方の3原則」と「6つのルールと18の書き方」を使って頭の中を整理したうえで技術文書を書きます。
例えば,「書き方1:要点を冒頭に書く」を使って頭の中を整理することを考えます。
以下のような問題があったします。
DX推進の課題を述べよ。
「書き方1:要点を冒頭に書く」とは,「内容に関する要点を冒頭に書き,この要点に関する説明をその後に書くこと」です。そこで,「解答の要点とは何か?」と考えます。
◆解答の要点:DX推進の課題はDX推進に関わる人材不足である。
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次に,「解答の要点の説明は何か?」と考えます。
◆解答の要点の説明:労働人口が減少していること,DXに必要な人材需要の伸びに供給が追い付かないこと,非IT企業にIT人材が少なく育成も怠ってきたこと
このように頭の中が整理できたら書き方1を使って解答を書きます。
DX推進の課題はDX推進に関わる人材不足である。「労働人口が減少していること」,「DXに必要な人材需要の伸びに供給が追い付かないこと」および「非IT企業にIT人材が少なく育成も怠ってきたこと」だからである。
このように,「書き方1:要点を冒頭に書く」を使って頭の中を整理することで内容が明確に伝わる解答(技術文書)を書くことができます。「DX推進の課題について,これを書こう,これを書かなきゃ,あれを書こう,あれも書かなきゃ・・・」のような頭の中の状態で書き出さないでください。
■「必要なことを理解する」について
「君の書いた技術文書はわかりやすい」と言われる技術文書の書き方(その34)」から今回までで「必要なことを理解する」について解説しました。
「必要なことを理解する」とは書き手自身に関することです。つまり,「伝える内容を書き手が明確に理解していること」と「書き手の頭の中を整理すること」です。
「伝える内容を明確に理解しよう」と「頭の中を整理しよう」という書き手の意識の向上も内容が明確に伝わる技術文書を書くため条件の一つです。
次回に続きます。
【参考文献】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日