2016年3月26日(土)に,日本技術士会・埼玉県支部主催の「平成28年度 技術士資格取得説明会」に出席してきました。プログラムの中では,「技術士資格の取得に当たって」と題して,技術士の試験に昨年と今年に合格された方のお話がありました(各年度1名ずつ)。内容は,今年受験される方へのアドバイスです(体験談です)。
一人の方(Kさん)がアドバイスの中で,「筆記時間のタイムマネジメント」というキーワードの話をされました。この内容が印象に残ったのでそれを紹介します。
現状では,ほとんどの技術者の方が,ワードやエクセルなどのソフトを使って仕事に関する文書や文章を書くと思います。したがって,これらを手で書くことがほとんどないため,文字を手で書くスピードがわからないと思います。
そこで,Kさんが話されたのが「筆記時間のタイムマネジメント」という考え方です。
この基本の考え方は,「600字を何分で書けるかを把握すること」です。ただ,この時間には解答を考える時間は含まれていません。考えた解答を単純に答案用紙上に書くだけの時間です。また,600字とは,記述式試験で解答を書く場合の基本単位です。
①専門知識の問題:600字詰用紙2枚以内(2問)
②応用能力の問題:600字詰用紙2枚以内(1問)
*専門知識の問題と応用能力の問題を合わせて2時間で解く。
③課題解決能力の問題:600字詰用紙3枚以内(1問)
*2時間で解く。
Kさんは600字を20分で書くそうです。この基本の単位を把握していれば,答案を書くうえでの戦術,すなわち,解答を考え解答を書くうえでの戦術が立てられます。Kさんは以下のようなことを考えたそうです。
①専門知識の2問を1時間で解くと考えると,1問を30分で解くことになります。したがって,1問に対して,10分で解答の骨子を考え,20分で書きあげることになります。
②応用能力の1問を1時間で解くと考えると,20分で解答の骨子を考え,40分で解答を書きあげることになります。
③課題解決能力の1問は2時間で解くので,60分で解答の骨子を考え,60分で解答を書きあげる
ことになります。
Kさんは,この方法で時間通りに解答を書きあげたそうです。
これは,非常に面白い考え方だと思います。多くの受験生の方が文字を手で書くことに慣れていないため,受験対策上,文字を書くスピードを把握することは重要です。
また,解答をいきなり書き出さず,解答の骨子を考えてから解答を書くことも非常に重要です。いきなり書き出すと途中で解答の論理(解答の流れ)がずれてくることもあります。「アレッ? 今何を書いているんだ?」・・・・ということになりかねません。解答の骨子を考えることは重要なので,弊社でも,「わかりやすい答案の書き方(プログラム8)」の中で解答の骨子を考える方法を説明しています。
しかし,試験では,解答の骨子をじっくり考える時間的な余裕がなく,考えながら解答を書くこともあると思います。したがって,このような時間配分で書けないこともあると思います。このような場合でも,文字を手で書くスピードを把握しておけば,試験でこれが役立つと思います。
kさんが考えた「筆記時間のタイムマネジメント」という考え方を参考にして下さい。