前回のブログは,TOEICテストについて書きました。5年間TOEICの試験勉強をしてもCレベル止まりでした。
しかし,英語を勉強した期間はこの5年間だけではありません。中学一年のとき英語の勉強を始めてから大学を卒業するまで英語を勉強したので,この5年間を加えると,英語を勉強した期間はトータルで約20年間です。
もちろん,毎日24時間英語漬けではありませんが,相当な時間英語を勉強したと思います。・・・ですが,英語を満足に話せません。AFNの放送(米国軍放送網,米軍向けテレビ・ラジオ局からの放送:こちら)も満足に聴き取れません。辞書があっても英字新聞や洋書を読むのは一苦労です。
このような自分の情けない姿を見て思い出すのが,中浜万次郎と浜田彦蔵です。
中浜万次郎は,ジョン万次郎ともよばれていました。二人とも江戸時代の後期,乗っていた船が難破し,中浜万次郎は無人島の鳥島に漂着しその後アメリカの捕鯨船に助けられました。浜田彦蔵は南鳥島付近を漂流中アメリカの商船に助けられました。助けられた後の二人の経緯は異なりますが,二人ともアメリカで英語を学び,数年後には英語をマスターしました。
私はこの二人のことを小説で読んで詳しく知りました。
*椿と花水木(万次郎の生涯):津本陽(幻冬舎時代小説文庫)
*アメリカ彦蔵:吉村昭(新潮文庫)
二人が育った江戸時代はほとんどの人が英語など知りませんでした。オランダ通詞等ごく一部の人は英語をすでに勉強していたようですが,一般庶民は英語とは全く無縁です。
「ABC・・・XYZ」などわかるはずがありません。着物を着ていたり,丁髷姿で刀を差していた時代です。そのような環境で育った2人が数年で英語をマスターできたのは本当にすごいことです。
「アメリカ彦蔵」の中に次のような文章があります。これは,救助された船の中での会話です。なお,彦太郎とは浜田彦蔵のことです。
可愛がってくれる二等航海士に彦太郎は,少しずつアメリカ言葉を教えてもらうようになった。水を指して,なんと言うのか,という仕草をすると,航海士は,
「ワラ(Water)」と言った。
鼻を指すと,ノウス,耳はイヤイ,目はアイ。
彦太郎が空をさすと,
「スクァイ」
太陽を指すと,
「サン」
彦太郎は,それらの言葉を頭にきざみつけ,水主たちに伝えた。
このようにして,中浜万次郎と浜田彦蔵も数年をかけて英語をマスターしたのでしょう。その当時は,英和辞典や和英辞典もありません。そのような中で英語をマスターしたのですから,何度も書きますが,これは本当にすごいことです。
自分のことに戻りますが,トータルで約20年間も英語を勉強しながら,「満足に話せない・満足に聴き取れない・満足に読めない」のですから自分が情けなくなります。中浜万次郎も浜田彦蔵も毎日24時間英語漬けの生活だったということはありますが,二人のことを考えると「俺は何をやってんだ?」という気持ちです。
英語をマスターするためには,「絶対に英語をマスターする!」という強い気持ちが必要だと改めて思いました。中途半端はダメです。
「椿と花水木(万次郎の生涯)」も「アメリカ彦蔵」も面白い小説なので,二人の生涯について興味がある方はこれらの本を読んで下さい。