私の友人(Hさんと呼びます)が地盤調査(物理探査)の会社を経営しています。Hさんが以前私に話してくれたことで印象に残っている言葉があります。
「調査結果に関することをまとめる場合には,常に,A3判の用紙1枚でまとめるように心掛けている」
Hさんは,A3判の用紙1枚の中に,調査場所の写真およびそこでの調査結果などを一緒にまとめることを基本としています。このようにまとめられていると,「このような場所で調査するとこのような結果になるのか」という流れで調査結果が理解できます。
Hさんがまとめたこのような資料(報告書)を見たことがありますが,内容がわかりやすい(内容が理解しやすい)です。
あるページに,調査場所の写真が載っており,別のページにそこでの調査結果が載っているような流れでまとめられているとします。このようなまとめ方では,調査場所の写真を頭の中に記憶したうえで,そこでの調査結果を見る必要があります。
このようなまとめ方は,内容を理解するうえで読み手に負担がかかります。
調査箇所が多い場合などでは,A3判の用紙1枚でまとめられないこともあるそうです。このような場合には,「A3判の用紙1枚で調査結果に関することをまとめる」という考え方に沿ったまとめ方を考えるそうです。
拙著:「技術者のためのわかりやすい文書の書き方(こちら)」の中では,「6つのルールと17の書き方」について解説しています。この中に,「ルール4:書き方10 組み合わせて書く」があります。Hさんのまとめ方は,まさに「書き方10 組み合わせて書く」の考え方です。
「書き方10 組み合わせて書く」は,「内容を明確に伝えるために,複数のことを用紙1枚の中に集約してまとめる」という考え方です。Hさんの例で説明すると,「調査場所の写真」と「そこでの調査結果」を用紙1枚の中に集約してまとめることです。
Hさんは,調査場所の写真とそこでの調査結果とを組み合わせてまとめることを基本にしていますが,この他のこと(この他の内容)もこれらと一緒にまとめることもあるそうです。「書き方10 組み合わせて書く」を使う場合には,「どのようなこと(内容)を組み合わせたら内容が明確に伝わるか?」と考えることがポイントです。
Hさんは拙著を読んでいないと思いますので,「A3判の用紙1枚でまとめる」という方法は,Hさんが独自に考えた方法だと思います。
「A3判の用紙1枚でまとめる」に関しては,2016年9月5日のブログでも書きました(こちら)。このブログでは,「自分が担当した業務の概要版をA3判の用紙1枚で作成してください」と書きました。
「何でもかんでもA3判の用紙1枚でまとめましょう」などという乱暴な言い方しません。しかし,「A3判の用紙1枚でまとめられないか?」という意識をもって文書を書いてください。
この意識を持つことで,わかりやすい文書(読み手に内容が明確に伝わる文書)が書けます。