前回に引き続き「言葉」をテーマとしたブログです。
平成28年度の技術士第二次試験が7月に終わりました。受験生の皆様ごくろうさまでした。
平成28年度の試験問題は(公社)日本技術士会のサイトからダウンロードができます。建設部門の問題を調べる必要があったので,11の選択科目をすべて印刷して問題を読んでいました。
受験部門は21部門あります(技術士第二次試験が対象)。部門とは技術分野と考えてください。例えば,機械部門,電気電子部門,経営工学部門,情報工学部門などがあります。建設部門はこの中の一つです。
また,選択科目とは,各部門を専門分野によって細分化したものです。建設部門では,例えば,道路,トンネル,鋼構造及びコンクリート,土質及び基礎などです。建設部門の中に11の専門分野があります。
「施工計画、施工設備及び積算」という選択科目の試験問題の中に以下のような問題がありました。
(2)ユーザーの満足度と信頼を獲得するため,(1)に挙げた要因の対策として,あなたが建設工事において具体的に実施できる施策と期待される成果を,発注者,設計者,元請,下請け等の立場を明確にした上で記述しなさい。
(3)(2)を踏まえ,建設部門全体で取り組むべきとあなたが考える方策を記述しなさい。
この問題を読んで,「この問題の解答を考えるのは難しいな」と思いました。理由は,解答を考えるうえで「施策」と「方策」をどのように使い分けるのかが分らなかったからです。
「施策」と「方策」とを辞書で調べると以下のような意味が書いてありました。
◆広辞苑(第5版)
施策:ほどこすべき対策
方策:はかりごと,策略
◆岩波国語辞典(第5版)
施策:(世の出来事に対し政治家や役人が)ほどこすべき対策
方策:物事を処理するための手立て。はかりごと
◆goo辞書
施策:政策・対策を立てて,それを実地に行うこと。政治などを行うに際して実地にとる策
方策:はかりごと。計略。また,手段。方法。
このように,「施策」と「方策」では意味の違いはありますが,明白な意味の違いはないように思います。
個人的には,「施策」の方が行政的な意味に感じます。「国の施策」のようなキーワードを見るからでしょうか? これに対して,「方策」は個人レベルで考える手段や方法のような意味に感じます。
ところで,上記した問題に対して,技術士会では,「施策」と「方策」との意味の違いを踏まえて受験生が書いた解答を採点するのでしょうか? 例えば,「施策」の中に書いてある内容は,採点基準では「方策」の内容なので,この解答は「0点」・・・などということがあるのでしょうか?
やはり,技術士の試験は難しいです・・・・・?