2016年11月8日の朝,福岡市のJR博多駅前で,道路が縦横およそ30メートルにわたって大規模に陥没しました。
道路が陥没した瞬間の映像をニュースで見た方も多いと思います。福岡市の市営地下鉄の工事が原因のようです。死亡者が出なかったのは本当に不幸中の幸いです。
会社員時代,今回のような市街地の道路の下にトンネルを造る計画やそのトンネルの設計を担当していたので,道路が陥没した瞬間の映像は衝撃的でした。
会社員時代,トンネルの計画や設計の仕事だけではなくトンネルを造る現場にも約3年間に出ていました。「現場に出た」と言っても,トンネルを造る仕事(施工)ではなく現場計測業務で現場に出ていました。
現場計測には,トンネルを安全に施工する目的と学術的な目的があります。
前者は,例えば,計測機器を使って,トンネル施工に伴う,トンネル周辺の構造物やトンネル上の道路などに及ぼす影響を日々計測(観測)することです。
後者は,例えば,トンネルに計測機器を付けトンネルに作用する力などを計測することです。
現場計測をしていたとき,道路の下にトンネルを掘ることで道路面が沈下するのを計測したことが何度かあります。トンネルを掘る方法は,今回のNATM工法ではなくシールド工法という方法でした(シールド工法:こちら)。
「道路面が沈下した」と言っても,沈下量は最大でも10mm前後だったので道路を走る車に影響はありませんでしたが・・・・。
自然の中に人工物を造ると自然の中のどこかでその影響が発生するのでしょう。
今回の事故に対しては,学術経験者が入った原因究明の委員会が開催されると思います。
道路の陥没の原因を明確にして,今回のような事故が二度と起きないようにしてもらいたいです。