今回は,「一目でわかる表現の心理技法」を紹介します。
◆「文書・図表・イラスト 一目でわかる表現の心理技法:海保博之著:共立出版株式会社」
これまでに読んだ本からの18冊目で,「ビジュアル・コミュニケーション」という本を紹介しました(こちら)。今回の本も,ビジュアル表現を切り口とした内容です。
著者は,この本の中で,「一目でわかる表現」のことを「ビジュアル(視覚;visual)表現」という言葉に置き換えています。
この本の特徴は,ビジュアル表現について認知心理学の観点から解説していることです。認知心理学のことに関する解説があるためやや難しい内容の箇所もありますが,面白い本です。
認知心理学とは:こちら
この本の“第7章 心に訴える表現の心理技法”の中に,“7.2 心の窓を開く”という項があります。この項の“第一印象を良くする”という見出しの内容の一部を抜粋します。
・・・表現されたものに対しても,第一印象というものがある。たとえば,
・本や雑誌を手にとってパラパラとめくって見たとき
・乱雑な字で書かれた手紙を見たとき
・TVのコマーシャルを見たとき
などのあの印象である。第一印象の良し悪しによって,読んでみよう,聞いてみよう,見てみようという気持ちにさせるかどうかが決まってしまう。さらには,内容の良し悪しについての先入観すらもってしまうことがある。・・・・・
これらの内容は,「一目でわかる表現の心理技法」の内容の一部を紹介した12月6日(見た目を良くする)のブログの内容と共通する内容です(こちら)。
今回,同じ視点でのブログを書いたのは,「見た目を良くする」や「第一印象」というキーワードは,読み手に内容を明確に伝えるうえで(わかりやすい文書を書くうえで)重要なキーワードだということを認識していただきたかったからです。
これらのキーワードを意識して文書を書くと,おのずと,わかりやすい文書が書けます。
参考までにこの本の目次の一部を紹介します。
第2章 見やすくする表現の心理技法
2.1 細かくしない
2.2 情報を詰め込まない
2.3 見た目を良くする
第3章 印象づける表現の心理技法
3.1 目を引きつける
3.2 区別してまとめる
3.3 階層化して注意を引きつける
第4章 わかりやすくする表現の心理技法
4.1 わかるとは
4.2 具体性の水準を最適なものにする
4.3 同型になるようにする
4.4 全体-部分の関係をわからせる
第5章 動きをわからせる表現の心理技法
5.1 動きの表現はむずかしい
5.2 動きを1枚の絵で表現する
5.3 時間の流れがわかるようにする
5.4 動きとその結果をはっきりさせる
第6章 記憶を助ける表現の心理技法
6.1 記銘,保存,想起は三位一体
6.2 記憶を支援する
6.3 思い出すのを助ける
第7章 心に訴える表現の心理技法
7.1 知と情と
7.2 心の窓を開く
7.3 引きつける
上述したように,認知心理学をベースにした内容のためやや難しい内容もありますが,面白い本です。
このブログを読み,「ビジュアル表現の考え方を取り入れて文書を書いてみよう」と思った方にはお薦めの1冊です。