今回は,「できる人の要約力」を紹介します。
この本の中で著者は,要約の進め方として以下に示した16の原則を書いています。
■ステージ1:全体をつかむ
原則1:全体像を把握する
原則2:全体から細部へ
■ステージ2:文章の構造がどうなっているかを考える
原則3:段落分けをする
原則4:段落ごとに見出しをつける
原則5:主語と述語を見つけ出す
原則6:結論以外の部分を構造化する
原則7:事実と主観を分けて考える
■ステージ3:目的を確かめて重要な部分を選択する
原則8:要約の基準・目的を明確にする
原則9:重要な部分を選別し,優先順位をつける
原則10:キーワードを見つける
■ステージ4:残す部分を考えながら抽象度を上げる
原則11:情報をまとめて抽象化する
原則12:残すべき具体的な部分も考える
■ステージ5:まぎれ・誤解のない形に仕上げる
原則13:まず結論から伝える
原則14:全体像から説明する
原則15:キーワードを組み立てる
原則16:読み手に役立つようにカスタマイズする
要約する方法に関して,様々な実践ケースが紹介されているのでわかりやすい内容です。
ところで,原則2(全体から細部へ)の考え方は,わかりやすい文書を書く場合にも重要なことです。
“わかりやすい文書の書き方・第2原則”は“文書の構成を考える”です。この第2原則のポイントは,“内容を項目に区分することで文書の構成を考えること”です(こちら)。
例えば,以下の目次を見てください。これは報告書の目次(構成)の例です。目次は,大項目,中項目,小項目に区分して作成しています。
この目次も,大項目(全体)から小項目(細部)への流れで構成されています。
以前,ある電機メーカーの部長さんに,ここで示した目次を使って項目に分けることの重要性を説明しました(これについては,過去のブログで書いた記憶があります)。
そのとき,部長さんが言ったことが印象に残っています。
“今の技術者は,このような考え方(大項目・中項目・小項目のように項目に区分して考えること)ができないです”
“全体(大項目)から細部(小項目)へ”という考え方は,頭の中を整理するうえでも非常に重要なことです。また,自分の頭の中がこのように整理されていることもわかりやすい文書を書くための条件です。
この本の中で著者は,要約力をつけるメリットとして「仕事の効率や評価が上がる」と書いています。
・・・上司からすれば,クドクドと説明する部下は,「自分の時間をムダにする人」になりますが,要約して報告してくれる部下は「自分の時間を大切にしてくれる人」ですから,評価が高くなるのは当然です。要約力と能力評価は,かなりの程度,正比例するといってもよいでしょう。
なるほど・・・