今回は,「脳が冴える15の習慣」を紹介します。
◆「脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める:築山節:生活人白書(NHK出版)」
本書では,“脳が冴える15の習慣”を紹介しています。
15の習慣の中で,習慣8は“記憶力を高める”です。
習慣8は,受験勉強をするときに参考になる内容です。
著者は,「使える記憶を増やすには,出力することを意識し情報を取ることが大切」と本書の中で書いています。
■人に伝えることを前提として情報を取る
情報を意識的に脳に入れるためには,基本的に,その情報を出力する,いつか人に伝えるという前提が必要です。その理由は,こう考えてみると分かりやすいでしょう。
たとえば,街を歩いているとき,ただ何となく歩いていて,後で,
「途中に何がありました?」
と聞かれても,思い出せる情報はごく限られているはずです。しかし,先に,
「途中に何があったか後で教えて下さい」
と言われていれば,めぼしい情報を意識して脳に入力しようとするでしょう。そうすると,後でたくさんの情報を思い出すことができるし,その記憶は時間が経っても消えにくくなります。
使える記憶を増やすためには,そういう指示をされていなくても,いつか出力することを前提として,意識的に情報を取ろうとしていることが大切なのです。
文章を読んだり,人の話を聞いたりするときにも,同じことが言えます。ただ読んだだけ,聞いただけでも「分かったつもり」にはなれますが,後で自由に引き出せる記憶にはなりません。素通りした街の景色のように,思い出すことができなくなります。
情報を後で誰かに伝えようと思っていれば,要点を意識的に捉えて,脳に入れようとするするでしょう。
・・・以下略・・・
「拙著:わかりやすい文書の書き方(こちら)」の中に「『わかりやすい文書の書き方』の考え方を使った受験勉強方法」という章があります。この受験勉強方法の1つが,「『結局,ここでは何が言いたいのだろう?』と考えて読む」です。
これは,専門書や学会誌あるいは専門関係の雑誌など受験勉強で使う教材の内容に対して,「結局,ここでは何が言いたいのだろう?」と考えて読むことです。
「結局,ここでは何が言いたいのだろう?」という意識をもつことで読み方が変わります。この答えを出すために内容を確認しながら読むからです。一度読んだだけでは答えを出せない場合には何度も読み返します。このように,教材の内容を読み込むことで,読んだ箇所に書かれてあることが記憶できます。
さらに,答えをノートに手で書くと確実に記憶できます。
この勉強方法は,著者が書いている「出力することを意識し情報を取ること」に対応しています。
人間の脳の機能を考えて受験勉強をすることで受験勉強の質がレベルアップします。