今回は,「頭のよさとは『説明力』だ 知性を感じる伝え方の技術」を紹介します。
◆「頭のよさとは『説明力』だ 知性を感じる伝え方の技術:齋藤孝:思想社・新書」
前回のブログのテーマは「技術士第二次試験対策:口頭試験対策・説明する能力」でした(こちら)。
前回も書きましたが,日本技術士ではコミュニケーションを以下のように定義しています。
コミュニケーションとは,「業務履行上,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等多様な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと」
明確かつ効果的な意思疎通を行うためには説明力が要求されます。説明力が要求されるのは技術士第二次試験の受験生だけではありません。多くの技術者の方々にも説明力が要求されます。技術の仕事でも,何かを説明する人とその説明を聞く人が必ずいるからです。例えば,社内会議で,会議の議題について説明する人がいてその説明を聞く人います。
セミナーや社員研修で,講演のテーマについて説明する場合にはその内容の説明方法を考えます。濃淡がなく一本調子で説明すると眠くなるので説明の方法を工夫しています。弊社では,認知心理学の考え方も取り入れて説明しています。
この本の中には,セミナーや社員研修で使っている説明方法も出ていました。その1つが,「『ヘリコプター方式』が上手な説明」です。その内容の一部を紹介します。
まず先にポイントを明示して,そこから説明を始めると,聞き手もこの話がどこに向かっているのかがわかり,安心して聞いていられます。
わかりやすい説明とは,ヘリコプターで目的地に直接降りるようなものです。
-略-
説明の下手な人は,本質的な部分,相手が聞きたいと考えている部分ではなく,自分の話したいと思った箇所を優先的かつ重点的に説明する傾向があります。
ポイントとなる部分はどこなのか,相手が知りたいという部分はどこなのか,そこを把握して,そこから優先的に説明していくことが,わかりやすい説明の基本となります。
ヘリコプター方式の説明の重要性は,自分が聞き手(説明を聞く人)の立場に立ってみるとよくわかります。聞きたい話がなかなか出てこないと聞いていてもイライラします。弊社でもこのような考え方を取り入れて講演の内容を説明しています。
技術者の方々は,自分の専門分野の技術力をレベルアップさせるとともに,説明力もレベルアップさせてください。
この本には,説明力をレベルアップさせるための様々な方法が紹介されています。説明力をレベルアップさせたい方には一読をお薦めします。