例えば,自転車に乗っているときに転倒して胸を強打したとします。痛みがひどいので整形外科に行ったことを考えます。
先生から,「どうされましたか? 説明してください」と聞かれたときどのように答えますか。
ほとんどの人が,「自転車に乗っているときに転倒して胸を強打したため胸の痛みがひどいです」のように答えると思います。場合によっては,このあとに,「昨日はほとんど痛みはなかったのですが,一晩寝たら痛みがひどくなりました」のように説明することもあると思います。
「会社への通勤に自転車を使っています。昨日,会社からの帰宅時,いつも通る道で急に子供が飛び出してきたので子供を避けるためハンドルを急に切ったところバランスを崩して転倒しました。そのとき,胸を強打しました。痛みが取れないので先生に診ていただこうと思いました」のように答える人はほとんどいないと思います。
自分が医者の立場だったら,どちらの答えがわかりやすいかわかると思います。
人と話す場合には,話し手と聞き手の間が会話で結ばれます。技術士第二次試験での論文を採点する場合には,書き手(受験生)と読み手(採点者)の間が文字(論文)で結ばれます。
会話を通したコミュニケーションと文字(論文)を通したコミュニケーションです。
これは,令和3年度・建設部門・必須科目(Ⅰ-1)での(3)での問題です。
「前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ」
例えば,この問題について,以下のように口頭試験で質問されたらどのように回答するでしょうか。
「前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を説明してください」
医者との会話での答え方を考えると,「波及効果は・・・・です。・・・・・」,「対応策は・・・・です。・・・・・」のように回答するのではないでしょうか。
つまり,回答の要旨を初めに話し,回答の要旨の説明をその後に話すパターンです。このようなパターンで回答すれば,受験生も頭の中を整理したうえで解答を考えることができます。また,このようなパターンで回答すれば,面接官も受験生の考えが明確にわかります。
このように,試験問題を口頭で答えることを考えると解答の考え方(論文の書き方)がわかります。
弊社では,このような考え方に基づく「“解答の主旨”と“解答の主旨の説明”を考えることで論文を書く方法(主旨法)」をマンツーマン形式で解説します。
*主旨法とは,解答の主旨と解答の主旨の説明を考え頭の中を整理して論文を書く方法です。
*技術士第二次試験・論文の書き方(採点者の解答が“明確に”伝わる論文の書き方)