技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)として8項目があります。その中の1つが「コミュニケーション」です。以下は,コミュニケーションについての2つの解説項目のうちの1つの項目です(他は海外業務に関すること)。
・業務履行上,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等様々な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと
コミュニケーションの意味を辞典で調べると以下のような説明が書いてあります。
「気持ち・意見などを,言葉を通じて相手に伝えること。通じ合い。」(岩波国語辞典・第五版)
「コミュニケーション」と聞くと,まず,言葉によるコミュニケーションを考える方も多いと思います。例えば,「上司と部下のコミュニケーションが足りない」という意味は,上司と部下との意思疎通が足りない,すなわち,言葉による意思疎通が足りないということです。
冒頭にも書いたように,言葉によるコミュニケーションの他に文書によるコミュニケーションがあります。つまり,
・業務履行上,文書を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等様々な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと
です。
例えば,「君の書いた報告書(=文書)はわかりにくい」と上司から言われたら,報告書(=文書)を通した上司との明確かつ効果的なコミュニケーション(意思疎通)が取れていないということです。逆に言えば,わかりやすい報告書(=文書)を書けば上司と明確かつ効果的なコミュニケーション(意思疎通)を取ることができます。このことは,技術士に限ったことではなくすべての技術者に当てはまることです。
つまり,文書を通した明確かつ効果的なコミュニケーション(意思疎通)を取ることは,技術士の資格を保有していない技術者にも求められることです。
明確かつ効果的なコミュニケーション(意思疎通)が取れる文書を書くことは技術者に必要な能力の一つです。